OP

 

 

 
 
 
 
 
「リムラの奴!この俺にコミケに行かせるとか何ちゅう思考回路してんだよ・・・」
朝帰りのデデデエクスプレスの中、リムロは一人大量の同人誌が詰まったビニール袋を抱えていた。
「しかも落石事故で鉄道の復旧に時間掛かるしさー、何で?何で?」
何が悲しゅうて一人でコミケなどに乗り込まなければならないのか。
「あー、後で絶対フームに告げ口してやる。マジ覚えてろよ」
ため息をついていると
 
 
 
 
「あの・・・・・・・・・」
 
 
 
「はい?」
今座っている座席の後ろから声を掛けられた。少女の声だ。
「今、お姉さまの名前を口に出しましたよね?」
「え?ああ・・・・・・」
それがどうかしたのだろうか。
「ひょっとしたらこの人、フームの知り合い!?」
何だ、また別の声が聞こえたぞ。
「もう・・・お姉さまの事を呼び捨てにしちゃだめっていつも言ってるのに・・・・・・」
「別にいいじゃん、どう呼んだって。別人でもあるまいし」
どっちがどっちなんだ。ひょっとして姉妹?
つか、こいつらはフームと知り合いなのか?
でも国外にフームの友達がいるって話は一言も聞いてない。
まあ、“お姉さま”って呼ぶ時点で血縁関係は明らかだ。
「おい、あんたら誰なんだ?」
二人の姿を確認しようと、何とか身を乗り上げる。すると―――
 
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
 
背中側の座席に座っていたのは、どちらも水色の髪に白い肌を持っていた双子の姉妹だった。
瞳は気のせいだろうか、赤い部分がやけに多い。
足元には旅行用のカバンに、傘らしき妙ちくりんな道具が無造作に置かれていた。
双子らしからぬことに、両者とも顔があまり似ていない。
観察すればするほどますます分からなくなってくる。と―――
 
 
 
きゃああああああああああああああ!!!!
 
 
 
リムロの顔を見た双子の片割れは絶叫を上げた。
「え?俺の顔になんか付いてる?」
耳鳴りを抑えつつ問いかけるが、どちらもまともな返事をよこさない。それどころか
「ひっ・・・・・・・・・!?」
もう片方は顔が引きつり、体をガタガタ震わせていた。
「・・・何だよこいつらぁ!頼むから俺を判断に困らせないでくれぇ!!」
 
 
 
 
 
 
 
『リーロ&シック』
 
 

 

 

 

 

リストに戻る  次へ>>