「聞いたか?帝国の狂血院エミジがプププランドに向かったそうだ」
「何だと?連中も我々の打倒に向けて、とうとう例の星の戦士にアプローチを取り始めたのか」
立ち話を繰り広げる2、3人の戦闘員たちの前から現れ、一人廊下を行く軍服の男。
それが自分たちの上司であることに気づかぬまま彼らは話を続ける。
「いや、聞くところによると独断の行動で、単に情欲で他人の女をかっさらいに来ただけらしい」
「ふん、相変わらずの低俗ぶりだな」
「そうは言うがな、あれでも実力だけなら帝国のトップに躍り出る男だぞ」
「それがどうした。女にうつつを抜かすだけの阿呆など我らの敵ではない」
「おい、後ろ・・・・・・」
「え?」
戦闘員の背後に立つのは、丁度通り過ぎようとしていた軍服の男。
振り返れば相当機嫌の悪い顔をしており、眉間にはしわが寄っている。
「ひ・・・・・・・・・ガ、ガルクシア様っ!!?」
「貴様・・・今、なんて言った?」
平静、しかし密かに怒りを込めた言葉で戦闘員を問い詰める。
「え・・・な、何のことでしょうか・・・・・・?」
「いいから、言ってみろ!!」
「ひぃっ・・・!?」
更に詰め寄るガルクシア。
周りの戦闘員は速やかに返答を促す視線を送る。
「お、女にうつつを抜かすだけの阿呆など・・・・・・?」
戦闘員がその先の言葉を紡ぎ直すことは無かった。
彼の胸に1本のサーベルが突き刺さり、鮮血を吹き上げながら地に伏せた。
急所を貫いたのか、既に絶命していた。
もちろん、刺し殺した人物は他でもない。
「覚えておけ。今度、俺の前で男の格を貶すような事を言えば、こいつのようになると」
秘密結社BBB幹部、ガルクシア。
女性へ止め処の無い憎しみを向ける哀れな男。
彼は思い出していた。
罪に塗れた忌々しき己の半生を。
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