後編

 

 

 

 

 

 
 
 
 
リムラの運転の悪さは今に始まった事ではない。
 
昔からハンドルの切り方は乱暴で、同乗者にとって乗り心地は最悪。
事実、それが原因で彼女と別れた、なんて前例もある。
あまりの雑な運転ぶりに、教習所の免許試験で合格した経緯を知りたいとさえ思った。
恐らく、さすがの教官も投げ出したのだろう。
気持ちは分かるが少しは己の職務を全うして欲しい。
 
 
軍部でもリムラのドライビングテクニックに関する悪評は知れ渡っている。
自分たちの上司のマター中佐も
 
「この間中古で買った大砲付きジープにだけは、絶対乗せたくない」
 
と、お付での運転代行を固く拒否したぐらいである。
周囲の知人らもどうにか改善させようと必死に試みたが、逆に死にかけたという話も聞く。
勿論、リムラが故意にやった事ではない。
本人は良かれと思ってドライブに連れて行ったつもりが、地獄に行きそうな下手極まりない運転で腰を抜かされたのだ。
その割には死傷者が出ない辺り、まだ一線を保っている方と言うべきか。
今では「リムラだから仕方ない」と、すっかり諦め気味である。
果たして本当に手に負えない男なのか。
 
 
 
そもそもクロストルコンツェルン製のヘビースターは、「同社唯一の汚点」とまで酷評されるほど扱いの難しい機体だった。
ひとたび重力フィールドの切り替えを誤れば、スピード制御を失い暴走。
日常よりはレース向けといった方が相応しいと言えるが、現実はそうもいかない。
有名なエアライドマシンレーサーをして「フォーミュラスターよりも言う事を聞かない」と言わしめられてしまったのだ。
 
 
やがてこの欠陥品は悲劇を引き起こした。
ある星の高速道路にて、スピード違反で追われていたヘビースター使いのドライバーがサービスエリアへ逃げ込もうとした際、重力フィールドの切り替えスイッチが故障。
ブレーキが利かない車体そのまま駐車場を突き抜け、次々と車を破壊。
最後はレストランに突撃、過剰供給された燃料がきっかけで店内で大爆発した。
当時の時刻は丁度お昼時であり、多くの利用客が食事休憩のためにここを訪れていた。
犠牲者の数は、言うまでもない。
史上稀に見る大惨事。
 
この知らせを受け、クロストルコンツェルンは市場に出回った全ての自社製ヘビースターを回収。
事の重大さが甚大なだけに、一時は市場撤退も囁かれる程であった。
最悪、3社ともエアライドマシンそのものの販売自粛を覚悟していたという。
 
 
リムラはその事を知っても直、ヘビースターを返品しようとしない。
よほど愛着が湧いていたのだろうが、少しは安全の事も考えて欲しかった。
あの悲劇を招いた不遇なるエアライドマシン。
それを運転する以上、いつ第2の悲劇が起きてもおかしくは無いのだ。
 
 
 
「ちょっと、何なのよぉ!?」
「わあっ、こっち来るなぁ!!」
「ぽよお!?」
 
 
 
現に今、まさに人を3人轢き殺しかねない状況が続いていた。
リムラ、必死にスイッチの切り替えを繰り返す。
 
 
「うおっ!?や、やっべぇ!!!」
 
 
パニック状態の中、ようやく歩行者の存在に気づいたリムラ。
他の2人は顔が青ざめている。
勿論、最悪の事態を想像しての事。
引越し初日から交通事故沙汰になるのは何としても避けたい。
そう思ったのか、顔つきがやたらと必死になる。
 
 
「今更気づいたって遅いんだよこの野郎!!!」
「くそ!!右だ、右っ!!!」
「あいよぉっ!!!」
 
 
リムラの指示通り、3人で一斉に重心を傾け、進行方向を右へ逸らす。
同時に重力フィールドがようやくオンに切り替わり、地面に接触した車体裏に摩擦を発生させる。
 
 
 
 
「「「おんどりゃああああああああああ!!!」」」
 
 
 
 
相手方にギリギリ掠る程度で通過、車体は急ブレーキによって急激に速度を落とし、完全に停止。
歩行者に追突することなく、3人はどうにか難を逃れた。
 
 
「ふぅ~~~、危なかった・・・・・・」
 
 
一息つくリムラ。
もう少しで自分たちの人生が転落する所だった。
しかし安心する間も無く、一人の少女がズカズカとこちらへ向かって来る。
何故かは誰にでも想像が付く。
 
 
「ん?何だよ?」
 
唯一、リムラは全く理解していないが。
 
 
「ちょっと、あんた達!!どこの国の人か知らないけど、しっかり前見て運転しなさいよ!!」
 
目つきの悪い少女が物凄い剣幕で怒りをぶつける。
それはそうだ、危うくひき殺されかけたのだから。
すぐに謝罪しようとしたが、つまらない意地を張るリムラはそれを許さなかった。
 
 
「なにぃ!?明らか道路なのに端っこ歩かないお前らが悪いんだろうが!!」
 
リムラは自分の非を認めるどころか相手の非を咎め始める。
この杜撰な受け答えが相手を余計に怒らせる事となった。
 
 
「何ですってぇ!?あんたたち、頭どうかしてんじゃないの!!!」
「ああ!!?」
 
リムラは槍を持って威嚇。
その後ろからリムルとリムロが羽交い絞めにする。
 
 
「リムラぁ、大人気ないからやめようぜ・・・」
「初対面で悪いイメージ植えつけるのはまずいぞ・・・」
 
何としても穏便に済ませたかった2人だが、残念なことにリムラは滅茶苦茶な男だった。
 
「やなこった!!俺はな、赤の他人のために責任を取るのが大嫌いなんだよ!」
「なっ!!?」
 
更なる失言。
少女は更に怒りを捲くし立てる。
 
「記者会見とかさ、あるじゃん?アレに時間を割く暇があったら遊びぼうけていたいね!!」
「うわあああ、もう最悪だぁ!!」
「に、逃げろ!!!」
 
アクセル全開。
速やかにその場から去ろうと試みた時だった。
 
「このぉっ!!」
 
少女はヘビースターに飛び乗ると、怒りの形相でリムラを睨み付ける。
当のリムラ、更に反抗する。
 
「うお!!?てめえ、前見えないっての!!そこどけやぁ!!」
「あんたが「ごめんなさい」って言うまで、絶対にどくつもりは無いわ!!」
「ほらな!?やっぱりここは大人の対応で・・・・・・」
「図に乗るなクソガキぃ!!痛い目に遭わせてやる!!!」
 
開き直るリムラ。
槍で少女を振り払おうと必死だ。
 
「あんたこそ、図に乗るんじゃないわよ!!!!」
「あぎゃあああああ!!?」
 
あっという間に奪われる。
逆に思いきり脳天を直撃され、気絶した。
 
 
「ごめん!ごめん!!リムラこういう奴だから!」
「ここは俺らに免じて―――」
 
リムル、リムロが必死に頭を下げる。
これ以上余計な口を叩く男が退場した手前、ここは名誉挽回のチャンス。
 
「同じ車に乗っていながら注意しなかったあんた達も同罪よ。ここは免じてとか、そういう問題じゃない!!」
 
少女にはそんな事は関係なかった。
もはや怒りが収まる様子は一向に見られない。
 
 
「あ、誰かいる」
 
 
リムルが呑気に一点へ視線を向ける。
気が付けば、赤いガウンを身に纏ったペンギンのような大男が逃げ惑っているではないか。
 
「おわあああ!!?一体これは何ぞーーーーーーい!!?」
 
先程と同じよう重心を傾け、何とか進路を変えようとするが、時すでに遅し。
 
「やべ、ぶつか」
 
 
 
ガン!!!
 
 
 
 
「ぎゃあああああああああああああ・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
大男の体は空の彼方へ吹き飛ばされた。
 
 
 
 
 
 
 
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デデデ城 玉座の間
 
 
「ホント、ホントに申し訳ない!!」
 
ダークトリオから事のいきさつを聞いたデデデだったが、怒りは冷めやらない。
よりにもよって、この国の国家元首を轢いたのだ。
いつものデデデなら極刑、打ち首だと騒ぎ立てる所だったが、今回は虫の居所が良かったらしい。
 
「まったく!陛下がゴキブリ並の生命力だから事なきを得たものの・・・打ち所悪けりゃ極刑でゲしたよ!?」
「フン!引っ越して間もないと言うから、ワシの名に免じて許す!次からは気をつけるぞい!!」
 
大怪我を負わせたにも関わらず、何とか土下座で許してもらえる事が出来たトリオ。
しかし、まだ問題は残っている。
 
「だけどね、私の娘たちまでひき殺しかけたそうじゃない!」
「ええ!?ひき殺すだなんてとんでもない!!!」
「まったく!!キミらの親の顔が見てみたいもんだ!!」
 
一連のトラブルを聞きつけたパーム大臣夫妻は怒り心頭。
デデデもたじろぐほどの剣幕だった。
 
「すいません、ホントにすいません」
必死に頭を下げるリムラ。
その内心では
(歩行者は道路の端を歩けって教えなかったのかよ、このバカ親ども!本当ならこっちが殴り倒す所だったぞ!!)
などと逆恨みしていたのは誰も知らない。
 
 
「俺ら、遠い遠い星の『ディガルト帝国』からやって来た軍人なんですよ。ディガルト帝国軍っていうね」
 
風呂敷から大型の盾を取り出し、表面に刻まれた紋章を見せる。
 
「帝国軍?聞いたことも無いぞい」
「こんな所じゃあ外界の情報も入ってこないでしょう?それは仕方ないですよ。でまあ、我々は出張で・・・」
「出張とか言うけど、事実上のクビだよな」
「言うな!!でまあ、この星に飛ばされちまった訳でして・・・」
「ところで、あれですよね・・・・・・大臣お二方、まだ怒ってますよね?」
 
 
 
「「当然!!!!」」
 
 
 
本当に怒っているのが分かると、トリオはどうにか夫妻をなだめようと作戦に出た。
 
「ではこうしましょう!罪滅ぼしに俺らをここで働かせて下さい!」
「日銭は自分たちで稼ぎますから、給料の心配はいらないです!!」
「あやうく娘さんらを轢きかけたわけですから、無償で働かせて下さい!どうせ俺らは実質クビを言い渡された身ですから!!」
 
床に顔をつけ、一見うつぶせのようなポーズを取る。
3人が「土下座の最上級」と信じて疑わない最強の土下座作法「土下寝」。
これは更なる反省の意を示しているらしい。
効果があったかは不明だが、彼らの事情を知ったパームはしばらく考える。
 
 
「どうする、メーム?」
「そうねぇ・・・・・・タダで働いてもいいって言ってるんだから・・・・・・まあ、特別に許してあげましょう」
「だそうだ。ダーク・・・・・・」
 
「リムラです!」
「リムルです!」
「(タイミング早えよ・・・)リムロです!俺らはまとめて“ダークトリオ”で結構です!」
 
元気よく起き上がり、名前を名乗る。
 
「では3人とも。さっきは厳しく言ってしまったが、君らも可哀想な身だ。改めて君達を歓迎するよ」
「今度から車の運転には気をつけてちょうだいね、絶対よ」
「!!」
「ありがとうございます!!」
「いやホント、次のドライブまでに絶対治させます!!」
「えー、言うほど俺ヘタじゃねえよ」
「お前は黙ってろ!!!」
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・まあ、人民どもの邪魔にならない程度であれば何所に住んでも構わないでゲス」
 
エスカルゴンから居住許可の書類を渡され、判を求められる。
風呂敷から印鑑を漁り、薄くならないようきっちり押した。
 
「いやはや、申し訳ないですねえ」
「ああそうそう、人手ならウチは大丈夫ぞい!逆に売り飛ばしても良いほど余っておるからな!でゃっはっはっは・・・・・・」
「あっはっはっは・・・・・・・・・」
「んじゃ、これで俺たちは失礼しますね。御機嫌よう・・・・・・」
 
 
 
 
 
「ちょっと待って!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
柱の影から現れるフームたち。
大臣夫妻が退室した時、フーム、ブン、カービィの3人はこっそりと玉座の間に戻ってきていたのだ。
 
「・・・さっきから虫が良すぎないかしら?」
「はて?」
 
「出張でわざわざこんな所まで来るとは思えないわ。他に良い国はもっと在ったはずよ」
「・・・・・・・・・」
「なのに、あなたたちはプププランドを選んだ。見方を変えれば、目当てがカービィのようにも見えるけど?」
「・・・何が言いてぇんだ、お嬢ちゃん?」
 
はぐらかしていたトリオの表情が、急に真剣になった。
 
「こっちの台詞よ!!本当は何をしに来たのか、はっきり答えてもらうわ!!」
 
フームは疑いの眼差しを向けて止まない。
 
「・・・・・・どうする?」
「そうだな、すでにヘマやらかしてる訳だから、これ以上警戒心持たれても困るし・・・・・・」
 
何しろ当分の間はここに住むのだから、居心地の悪い環境を作ってしまってはやり辛いことこの上ない。
身の内を明かすか、「あの事」を話すか。
 
 
 
「・・・・・・おたくら、「秘密結社BBB」っつうのは知っているかな?」
 
 
「・・・・・・BBB?」
「何だそれ?」
「BBBは俺たち帝国の敵」
「せっかくさ、数千年前だっけ?に、フォトロン国家ピピ惑星のローナ王族と和平結んだってのに、あいつらのせいで全部台無し寸前!!」
 
 
「ピピ惑星!?マジかよ!」
「知らなかった・・・・・・!」
 
ピピ惑星。
かつてその国の王女は国外旅行でプププランドを訪れた事がある。
しかし、多忙な職務に自由を奪われる事を嫌い、親しい近衛兵と入れ替わっていた。
そんな事もつゆ知らず、デデデは王女に扮した近衛兵と結婚しかけていた。
今思えば、滑稽な話である。
 
 
「どーゆー事なんだよ、それ!!」
「んー?知りたいですかぁ、お坊ちゃん?」
 
リムルがもったいぶった言い方で焦らす。
 
「もちろん!王女とは俺らも知り合いなんだ!」
「何が起きているのか、聞かせてもらうわ!」
「よろすぃ、よろしぃ!それじゃ、聞かせてあげましょうか!」
「大王さんも耳の穴かっぽじってよく聞きな!!」
 
それぞれ咳払いすると、一人ずつ語り始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「昔ね、フォトロン族と俺らダークマター族はあまり仲が良くなかったんですよ」
「なんつーかもう、ダークマター族なんて見た目だけで『悪い奴ら』って決め付けられてたって話」
「危険な勧善懲悪だな」
 
 
「ある日フォトロン族がダークマター族にちょっかい出したのがきっかけで、戦争が起きた」
「この2つの種族は当時ギスギスしていたから、いつ戦争が起きてもおかしくなかった」
「けどね、勝ちましたよ。ダークマター族を代表する国家、ディガルト帝国の圧勝」
 
 
「知らないと思いますが、帝国は今無きナイトメア社とも肩を並べる、いやそれ以上の強大な軍事力を誇るんですよ」
「そんじょそこらの軍隊と違うのは、“不殺”を信条とする事。昔の戦争から学んだ教訓らしいですけどね」
「ま、仲間が殺されりゃ百倍返しだけどな!!」
 
 
「終戦後、2つの種族をそれぞれ代表する2大国家の間で結ばれた和平によって、事は済んだように見えたんですがね・・・・・・」
「そこに、秘密結社BBBってこと?」
 
 
「そう!昔の事を未だに引きずってる懐古厨・・・・・・もとい懐古主義のダークマターどもで結成されたのが、秘密結社BBB」
「全フォトロン族の排除を目標に掲げ、あちこちでフォトロン族を無差別に*して回っている」
「あいつら罪の意識全然持たないから、奴隷商人に売ったり内臓*****てブローカーに売るなんてザラだ」
 
 
「酷い時なんか、フォトロン族の学校を火攻めにして子供たち全員焼き*したなんて話もある」
「(なぜにお前ら伏字よ?)もう惨いのなんのって、見てられない」
「まあ頭の悪い自己中の極悪非道の集団みたいな?」
 
 
「(リムラを槍で叩きながら)そのうち向こうもダークマター族不信みたいになっちゃって。このままじゃまた戦争が起きるんじゃないかって噂が宇宙で持ちきりなんすよ」
「(何故かリムルに八つ当たりしつつ)ただ、帝国はなかなかどうして力加減出来ない国ですからね。いざ戦争となって、やられたら何百倍にして返すようなとんでもない国ですから」
「(リムロに八つ当たりすると見せかけて結局リムラへ)だから帝国はBBBの掃討に必死ってわけ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「何すんだ!!」
「てめぇら喋り方がうぜぇんだよ!!」
「お前だってそうだろ!!」
「そして俺に八つ当たりするのはよせ!!」
「それはこっちの台詞だ!!!」
 
 
 
「ねえ」
 
フームが一歩前に出る。
 
 
「あんた達の態度からして、なんだか信用できないわ」
 
 
彼女は3人の話を完全に信用していなかった。
彼らに対して、端から軽率な印象しか持っていない。
 
 
 
 
「「「ピキィッ!!!」」」
 
 
 
 
 
 
「んだとお!!?これだけシリアスにしゃべったのに返事がそれ!?」
「「どこがシリアスなんだアホゥ」」
「・・・お前らだって馬鹿みたいな喋り方したくせに」
 
 
「パパとママはすんなりOKしちゃったけど、私はある程度あなたたちと距離を置かせてもらうわ」
 
真の目的が分からない以上、親しく接する訳にも行かない。
最悪、寝首を掻かれるかもしれないと彼女は踏んでいた。
 
「はん!どうやら信用されていないようだな、俺ら」
「でもよ、帝国はデデデ陛下がBBBに騙されやしないかって心配のようだぜ?」
「なぬぅ!?んなわけないぞい、ワシに限って!!」
 
疑いのまなざしを向けられ、迷惑がるデデデ。
過去何度もホーリーナイトメア社に騙された男の言う事ではなかった。
 
「向こうはきっと、言葉巧みにあんたをいいように言いくるめて利用するだろう。下手すれば最大の脅威にも成りうる。それが帝国の悩みのタネってわけ」
「このワシを見くびるでない!ナンバー2のエスカルゴンがついておる!!」
 
 
「へ、陛下・・・・・・・・・・・・・・・!!」
珍しく頼られたのか、エスカルゴンは嬉しそうだった。
 
「ならいいけどね。今度こそ失礼しますよ、陛下」
 
 
 
 
 
 
3人がお辞儀しながら部屋を出て行く中、リムラだけが立ち止まり、フームの方を向いた。
 
 
「・・・・・・なぁ、フーム」
「ちょっと!!馴れ馴れしく呼び捨てにしないでくれる!?」
「あーすんませんすんませんー、大臣令嬢ー。あんたに一言だけ言っておく・・・・・・」
「?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
良い子ぶるなよ、このド田舎イモ娘!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
個人的嫌悪丸出しの罵倒。
それだけ叫ぶと、リムラは玉座の間を後にした。
 
無論、直ぐにフームが掴み掛かりに行ったのは言うまでもない。
 
 
 
 
 
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