フームの憤り

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
夜中の荒野を舞台に繰り広げられる、カービィとHR-Cの激しい戦い。
機械兵の砲火は崖をも砕き、崩れる岩の破片で行動を狭める。
カービィも負けるものかと岩を吸い込み、石飛礫の如く連続で吐き出すが、全て両腕のアームで防がれる。
 
 
ワープスター召喚の合図を封じられたのと、先程HR-Cが引用したダークマター大佐とやらの言葉。
特に後者へ、未だフームは反感を示していた。
 
 
自分は軍隊が嫌いだ。
周りの犠牲を省みず、街中にも関わらず重火器を使用して民間人を巻き込む最低の集団。
それも「敵軍が潜んでいるから」などと適当な言い訳を付け足して。
命の尊厳を踏み躙り、女子供構わず撃ち殺す。
それが自分のイメージする軍隊。
 
 
自分はデデデ大王が嫌いだ。
極端に嫌いという訳でも無いが、兎角傲慢で高圧的な性格は大変腹立たしく思う。
何時の日だったろうか、彼はワドルディ達の兵力を利用して「夢は世界征服」などと馬鹿な野望を企んだ事があった。
自分の愚かさも分からず、民衆を弾圧する。
それが自分のイメージする独裁者。
 
 
それだけに、今回の一件は益々頭に来る。
宇宙最大の軍事力をちらつかせ、思い通りに事を推し進めようとする身勝手な国家。
ダークトリオのように、属する全ての者が悪という訳ではないという事など最初から知っている。
だが、自分にはどうしても解せない。
何故、軍隊如きが「不殺」をポリシーに掲げているのか。
それだけが理解できなかった。
圧政を敷く指導者は悪だ。
だけど軍隊も悪だ。
破壊と憎しみしか残さない、そんな組織が無くても、カービィのようなヒーローさえ居れば人々を脅威から守ることは出来る。
軍隊が存在せずとも、平和は実現できる。
 
 
銀河戦士団は軍隊とは違う。
質量兵器に頼らぬ立派な志と、決して揺るがぬ信念を根底に、本当に宇宙の平和を取り戻そうと必死に戦っていた。
帝国軍と銀河戦士団のどちらを信用するかと言われれば、迷うことなく戦士団を選ぶ。
それぐらい信用できる度合いが違うのだ。
 
 
質量兵器などで平和を実現しようとする事が、如何に恐ろしい事かをHR-Cは体現していた。
際限なく発射され、辺り構わず爆破するミサイル。
あらゆる物質を容赦なく溶かす超高熱バーナー。
カービィは此れを吸い込みファイア能力を得たが、敵は強かった。
大岩をも一撃で砕く、驚異的硬度のシザーアーム。
これに至っては鈍重な外見に反し、有り得ないほど高速の連続突きを披露して見せるのだから、見ている方は心臓に悪い。
そして、いくら破壊しても上空から支給される随伴兵装。
今まで投下されたのは大型ミサイルランチャー、地雷、バズーカ、ガトリング砲。
とても、宇宙の統一で平和を目指す大国が所持すべきものとは到底思えない。
 
 
≪かなりの戦闘レベルだ。こちらも俗に言う“本気”を出さねばならない≫
 
 
HR-Cが立ち止まると、頭部の目と思しき緑色の部分が青色に変化していく。
同時に発した言葉。
 
 
スーパーコンピューター、稼働率を200%まで引き上げ。学習装置起動、反応レベルMAX
 
 
スーパーコンピューター?
馬鹿な、彼の体にはそんなものが搭載されているのか。
益々有り得ない。
このロボットは自分達の常識を逸脱している。
やはり危険な存在だ、カービィとは比べ物にならない。
 
この時フームは、カービィを比較対象に挙げてしまった事を戒め、恥じた。
彼は特別な存在だ、危険でも何でもない、と。
 
 
 
 
一瞬の隙を突き、ファイアーカービィが炎を纏い突進を喰らわした。
バーニングアタック。
HR-C、無防備の状態で攻撃を直に喰らい、若干よろめく。
 
「よし、もう一度だカービィ!!」
 
気を良くしたのか、ブンが再度同じ攻撃を促す。
カービィもそれに従い、再度バーニングアタック。
ブンは後に気づく。
 
それが間違いの元だったと。
 
バーニングア・・・・・・
 
突然、凄まじく早い反応で両腕を振るい、燃え盛る火の玉を弾き飛ばした。
何度も繰り返し突撃するが、どの方向から飛来しても必ず叩き落とされる。
 
何かの間違いだとカービィが思ったかは定かでは無いが、今度は炎を纏い地面を高速で移動。
火だるまころがり。
これもHR-Cは無防備に受け止め、後ずさる。
しかし同様に、2発目以降は悉く防ぎ切られてしまう。
 
「何でだよ・・・・・・最初はモロに喰らってるはずなのに、後は全部ダメだ・・・・・・」
「どういうことなの・・・?」
 
真相が分からぬまま、ファイアーカービィの頭で燃える炎は小さくなってしまった。
これ以上は無駄だと判断し、違うものを吸い込むようカービィに促した。
次に投下された随伴兵装は、着弾地点を瞬時に凍らせる冷却バズーカ。
今度はこれを吸い込み、アイスカービィに変身。
吹雪のような勢いの凍りつく吐息がHR-Cを呑み込む。
 
どんなメカも、凍らせれば動きが鈍る。
ヘビーロブスターとの戦いで得た教訓から、フームは勝利を確信していた。
だが、氷漬けにされたHR-Cはものの数秒で再起動。
機体から放出される排熱で少しずつ溶かし、ある程度経ったところで内側より力をかけ、脱出した。
報復とばかりにミサイルを連射するが、全弾漏らさず吸い込んだアイスカービィ。
アイスほおばり。
ミサイルを凍らせ、HR-Cに吐き返した。
アイスはきだし。
やはり最初の一発目は確実に命中するが、残りは全部防御されてしまう。
不可解な行動パターンを前に、カービィ達は混乱するばかりだった。
 
「畜生、どうなってやがるんだ!!」
 
ブンの苛立ちは募るばかり。
そこへ呼んでもいないのに駆けつけたダークトリオ。
 
「うおーい!!もうとっくにドンパチやらかしてんのかぁ!?」
「やっべぇなあ、アイツ本気出しちまってるぜ」
「勝ち目無いって、マジで」
 
戦闘の様子を目の当たりにし、驚愕する3人。
 
「リムラ、あいつは一体どうなっているの!?目の色が変わった途端、急に馬鹿になったり利口になったり・・・・・・」
「ハイィ?」
「同じ技でも、一回目はまるで無防備なのにその後から全部防がれてしまうの!!」
「!!・・・・・・フーム」
「何よ」
 
 
 
「今回、カービィは確実に負けるぜ」
 
 
 
「!!何を根拠に!!!」
「耳の穴かっぽじって、よぉーく聞きなイモ娘」
「早い話、HR-Cはな・・・・・・」
 
 
 
 
「相手の攻撃を“学んで”いるんだ」
 
 
 
「攻撃を・・・・・・学ぶ・・・・・・・・・?」
「そう。スーパーコンピューターと9億ギガ大容量記憶デバイスを搭載した、HR-Cだからこその芸当」
「まずはその技を一旦、無防備の状態で受け止める。すると攻撃の特徴が一瞬でメモリーに書き込まれる」
「次にスパコンの出番。あらゆる角度、想定できる特殊な条件下における、その攻撃への対処法を高度な演算処理で全て導き出す」
「あ、避けられない攻撃ってのは基本アイツの辞書に無いぜ。腕でもミサイルでも、使えるものは何でも使って全力で防ぎ切るから」
 
 
 
 
「だから同じ攻撃でも例え、雨が降ろうと槍が降ろうと全部ブロッキングする訳。腕が捥げようと、可能な限り回避する」
 
 
 
 
「・・・・・・そんな・・・・・・・・・!!!」
「全部本当だっつの。アイツは間違いなく宇宙で最強の戦闘マシンだ。戦えば戦うほど学習し、その敵の勝ち目は薄くなる」
 
どんな攻撃も即時に“学び”、対処法をモノにしてしまう計算能力。
唯でさえ随伴兵装も恐ろしい破壊力を持っているというのに、滅茶苦茶かつ理不尽。
最早ロボットの枠を超えた、化物。
 
 
リムラは絶対に負けると主張するが、自分はそれを全力で否定する。
カービィはこんな奴に負けるはずがない。
いや、絶対に負けない
圧倒的、暴力的なパワーを持った敵を前にしても、彼は決して臆することなく果敢に挑む。
誰のサポートを必要としなくとも、カービィは一人でも立派に戦える。
現に最近、強大な太陽兵器デスダンデリオンを単騎で撃墜したのだから。
もう、昔とは違う。
 
 
フームの切実な気持ちに反し、HR-Cは直も衰える様子を見せない。
どんな技も一度目だけを受け止め、全て回避。
 
 
“本気”を出してから一時間。
 
 
 
既に、彼女が知っている限りのコピー能力は全て出尽くした。
 
 
 
「・・・・・・どうすれば良いんだよ、リムラ!!」
 
力尽き、動く様子が無い。
健在のHR-CはX軸にアームを回転させつつ、地に伏せたカービィの動向を見定めている。
 
「どうにもなんねぇよ。これが現実だ」
「酷い!!このままじゃカービィが死んじゃう!!!」
「死にはしねぇよ。よほどの事がなきゃアイツ、誰も殺さねぇもん。そうやってプログラムされてるから」
 
無情に言い放つリムラに掴み掛かり、睨み付けるフーム。
その目には涙が浮かんでいた。
 
「・・・・・・全然怖くねぇよ、クソガキ」
「・・・うるさい。カービィは絶対に負けない!!」
「現実を知らない井の中の蛙が、大層な事ぬかすなってんだ」
 
 
 
 
「絶対に負けるもんですか!!カービィは、奇跡を起こす!!!!
 
 
 
 
絶対に起きないね、と悪態を突くリムラ。
彼を突き飛ばし、カービィを奮い立たせようと必死に叫ぶ。
 
 
「しっかりして、カービィ!!あなたは誰にも負けない、星の戦士でしょ!!?」
 
 
諦め顔のダークトリオ。
ブンもこの戦いの結末を絶望視している。
敵とカービィの間にある埋め難い実力差は、深刻だった。
 
 
 
「お願い、起きて!!カービィ!!!!
 
 
 
 
「!!」
 
起き上がった。
足元のおぼつかなさは彼の満身創痍を意味していた。
 
≪・・・・・・ターゲット、復活。戦闘続行の意思があるものとして、攻撃を再開する≫
 
再び構えるHR-C。
右腕の部分が急速に伸び、鋼鉄のアームが串刺しにせんとカービィに襲い掛かった。
 
ぽよぉっっ!!!!
 
最後の一頑張りか、吸い込もうと大きな口を開ける。
この攻撃は学習していなかったのか、右のアームはまともに吸い込まれてしまった。
即座に右腕を切り離し、事なきを得る。
 
≪ライトアーム、損失を確認。ターゲットはなおも吸引中≫
 
カービィは吸い込みを止めない。
更に大口を開け、周りのものを構わず体内に吸い込んでいく。
そして、飛び上がった。
 
 
 
≪支給機に依頼。ターゲットより今までに無い強大なパワーを感知。“最終兵器”を投入せよ≫
 
 
 
変身を始めたカービィを傍観し、彼の切り札らしき追加兵装の支給を要請。
 
彼らが目にしたものは、全く見たことの無いコピー能力。
頭に黄色のヘルメットを被り、左手に大きなドリルを装着。
その姿は、彼らの記憶には存在しなかった未知の姿。
 
 
「何なんだ、あれ・・・・・・?」
「俺工事現場でアルバイトした事あんだけどさ、あの帽子見たことあるぜ。さしずめ・・・・・・」
 
リムロの言葉は最後まで言い切ることなく、“例の男”によって潰された。
 
 
「あれぞ、ストーンニードルカービィ!!!
 
 
 
唐突に飛び降りてきたメタナイト卿に思わず驚き、地に転がるダークトリオ。
 
「いきなり出てくんじゃねえ、このジジイ!!」
「心臓に悪いってんだよバカ野郎!!」
「バックン・・・・・・バックン・・・・・・・・・」
 
悪態を突く2人。
リムロに至っては卒倒している。
 
 
「それよりメタナイト卿!!ストーンニードル・・・って・・・・・・?」
「カービィの更なる力、ミックスコピーが生み出した新たなる能力。だが・・・・・・・・」
「だが?」
 
 
 
「今のカービィはそれ相応の実力を持っていない。ミックスコピーを使うには早すぎる!!!」
 
 
 
一方、上空より巨大な砲台が落下。
HR-Cが受け止め、装着したそれは常軌を逸したサイズだった。
大出力ジェネレータ搭載の砲台より伸びる、長身の砲。
形状からして重火器とは違う兵器である事は確か。
 
 
≪小型惑星破壊砲“PDカノン”、出力50%≫
 
 
砲口に光の粒子が収束、何の影響なのか放電現象まで発生。
瞬間、放たれた眩い閃光。
照射された極太の光線は地形を貫き、空間を歪ませる。
衝撃が大地を揺るがし、機械の咆哮が響き渡った。
 
 
 
「・・・・・ウソ・・・・・・・・・・・!!」
 
 
 
有り得ない光景にフームは目を疑い、身震いした。
発射と同時に凄まじい衝撃を発した光線。
 
 
 
 
 
その通り道には、何も無かった
 
 
 
 
 
まるで型抜きで繰り抜かれた粘土のように、綺麗さっぱり消失。
照射された部分は歪みの無い大きな空洞が出来ており、巨大なトンネルを思わせる。
光に呑まれた物体が、全て消えた。
 
「何てこと・・・・・・・・・!!!」
「終わったな。アレがあいつの切り札だ、ミックスコピーだか何だか知らねぇけど、もう勝てねぇな」
 
カービィの敗北を悟るリムラ。
しかし当のカービィ、目の前で起きた一連の出来事に全く動じる気配が無かった。
感情が欠如したのではないかと訝しがるHR-C。
 
 
≪ターゲット、全く動じない。何故だ?・・・・・・再チャージ開始、出力100%≫
 
 
再び光が収束。
その時、カービィがようやく動き出した。
左手のドリルを回転させ、HR-Cめがけて体ごと飛来。
電光石火の如きスピードで体当たりを敢行した。
 
 
≪損傷率30%。速さが違う、先程の状態からは全く予想が出来ない!!≫
 
 
学習モードが働いたままの為、諸に直撃を喰らってしまった。
しかし砲台の重量が錘となり、機体はビクとも動かない。
 
 
≪PDカノン、2度目の発射!!!≫
 
 
再び閃光が放たれる。
カービィは高速で移動しながら砲塔の旋回に対応し、見事回避。
 
 
 
だが、異変は起きた。
 
 
 
「ど、どうなってんだよ!?」
 
慌てるブン。
カービィの動きが突然、滅茶苦茶な軌道を描き始める。
片端から岩を砕き、ひたすらに暴れまわる。
 
「いかん!!暴走が始まってしまった!!!」
 
メタナイト卿が最も恐れていた事態。
ミックスコピーの強大な力を制御しきれない事による、コピー能力の暴走。
カービィも必死にドリルを止めようとするが、一向に止まる気配は無い。
 
 
「暴走すると、どうなるの!?」
「残念だが・・・・・・私にも分からない!!」
 
 
今度はカービィの意思と無関係に手からドリルが離れ、飛び出す。
一直線に軌道を描き、岩山にぶつかった瞬間に大爆発を引き起こした。
立て続けに左手からドリルが生成され、無差別に発射を繰り返す。
役目を終えておざなりになっていた衛星群も次々と撃ち落された。
 
「こっちまで巻き込まれるのは御免だぜ!!逃げるぞ、てめーら!!!」
「待てや、一人だけはずるい・・・・・・アッー!!!」
 
リムラが逃走を促した途端、ドリルミサイルが彼らの方向へと真っ直ぐ飛来。
やはり大きな爆発が発生し、一同は吹き飛ばされた。
 
「痛っ・・・・・・」
怪我を負いつつ、立ち上がり叫んだ。
 
「カービィ、お願い!!正気に戻って!!!」
「え?あれって元から正気なんじゃ・・・・・・?」
「よく見て!!」
 
不思議がるブンの頭を掴み、カービィの方へ無理矢理向けさせる。
 
「・・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
 
 
ブンは気づいてしまった。
カービィの身に起きた、更なる異常。
 
 
 
 
「顔が・・・・・おかしくなってる・・・!!」
 
 
 
 
先程まで青い瞳を湛えていた目は、一面真っ白だった。
顔も無表情と化し、無気力さが前面に押し出されていた。
 
暴走が、深刻な域にまで達している。
 
 
「どうにか止める方法は無いの!?」
「何言ってんだ、イモ娘!!カービィに扱い切れない力を俺達がどうやって止めるってんだよ!?」
「・・・・・・済まない・・・・・・力及ばず・・・」
「そんな・・・!!!」
 
 
 
≪ハイパードライブシステム起動、ターゲット、ロックオン≫
 
 
背中の巨砲が連射モードに移行。
砲台への負荷が気になる程の高速連射と、大型ミサイルにも劣らぬ破壊力で狙い撃つようになった。
暴走カービィも偶然か故意か、上下左右へと動き回り悉く回避。
全く当たらない。
 
 
≪損傷率85%!!システム、オーバーヒート!!強制冷却開始!!現在非常に危険な状態・・・・・・≫
 
 
身の危険を警告するHR-Cだが、自分目掛けてカービィが直進、飛来。
学習能力から得た防御方法で防ごうとするが、不可能だった。
 
 
ここまで既に、彼の残されていた片腕は損失していた。
 
 
 
 
 
≪―――――――――――!!!!≫
 
 
 
 
 
最大級の爆発がHR-Cを呑み込む。
巻き上がる粉塵、岩。
衝撃は再び、大地を揺るがした。
 
 
果たしてカービィはどうなったのか。
完全無欠の機械兵は力尽きたのか。
期待、不安、希望、絶望。
それぞれの気持ちが彼らの頭の中を駆け巡る。
 
 
 
「おい、見ろ!!!」
 
静寂を最初に破ったのはリムラだった。
己の柔らかい球状の身体を手に変形させ、指差す。
緊張が走る。
 
 
 
「・・・・・・・・・やった・・・・・・・・・!!!」
 
 
 
張り詰めた空気は安堵に変わった。
装甲が抉れ、目の輝きが失せたHR-Cの姿。
動き出す気配は皆無。
爆風に吹き飛ばされたのか、少し離れた所でカービィは倒れていた。
散々暴れて疲れたのか、ぐっすりと眠っている。
 
 
 
 
「カービィが勝ったんだわ!!!」
 
 
 
まさかの結末に唖然とするダークトリオ。
不利だと思われていた状況が、あっという間にひっくり返された。
 
「・・・・・・嘘だろ、おい・・・・・・・・・」
「帝国の誇る最強の戦闘マシンが・・・・・・負けた・・・・・・」
「これが公に知れ渡れば、間違いなく一面記事モンだな・・・・・・」
 
愕然とする中、彼らはある結論を出した。
 
 
(・・・やはり、カービィは危険すぎるな・・・・・・)
(ああ。あいつを生かしておくのは帝国軍が許さないかも)
(ちょっと不味いな。お偉方に知れたら何を言い出すか・・・・・・)
 
 
敵どころか、味方まで滅ぼしかねない力を持ったカービィ。
しかも当人は、それを全く制御し切れていない。
危険すぎるパワーを振るい、暴走した。
 
 
彼を生かしてはならない。
そう考えていたのは、リムラだけでは無かった。
 
 
 
 
機械兵の目が、微かに光を点す。
 
 
 
____________________
 
 
人格思考プログラムに深刻なエラー発生。
直ちに停止する。
_________
「カービィ」の戦闘データ収集、完了。
内容を整理し、危険レベルを計測。
 
 
 
計測、完了。
 
 
 
 
 
「カービィ」の危険レベル、SSS級と判断。
 
 
 
随伴兵装を含めた全ての武器を点検。
ライト・レフトアーム消失。
スラスター故障。
PDカノン、破損。
 
 
「うわっ!?」
「逃げる気だわ!!!」
 
 
帝国軍ステルス戦闘機、ワイヤーフック投下。
機体引き上げ開始。
 
 
 
指令内容確認。
ターゲット「カービィ」の戦闘データ収集。
調査結果、危険レベルSSS級につき“排除”を決行。
 
目的は果たされた。
直ちにプププランドから離脱せよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
≪MISSION COMPLETECONGRATULATIONS≫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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