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翌朝 
アイスバーグ共和国 “IB(アイスバーグ)セントラルステーション”
 
 
『ご利用ありがとうございました。終点、IBセントラルステーション、IBセントラルステーションです』
 
 
 
一睡も、出来んかった・・・・・・
相当衰弱した様子のリムラが一番に降り立った。
「結局夜通し起きてたんだな、お前」
・・・眠い・・・・・・
明らかに声量が普段と比べて少ない。
右に左へ、ふらふらと危なっかしく飛ぶリムラを多少心配しつつ、一同は改札を抜け中央口へ出た。
「えっと?確か“IBデパートメント”っつう、この国で一番デカイ家電販売店に行けば良いんだっけな・・・」
出発前、フームから受け取ったメモ用紙を体の中から取り出す。
「どこにあるって?リムロ」
「うーん・・・・・・どこにあるも何も・・・・・・」
 
 
・・・目の前にあるじゃねぇかよ・・・・・・
 
 
リムラの言うとおり、目的地は駅を出て目と鼻の先にあった。
「・・・・・・駅前デパートだったんだな・・・・・・」
「そういうこと」
「でも駅前とかありきたりだよなぁ、最近はエキナカっつうのが流行なのに・・・」
「いや、家電店の場合は違うだろ常識的に考えて」
・・・雑談(ざつだん)してねぇで、さっさと行くぞ・・・・・・
早く用事を済ませようと正面の入り口へ向かうが
あれ?」
自動ドアなのに全く開く気配がない。
「・・・・・・喜べ、まだ営業時間じゃないみたいだぜ」
 
 
 
「あ、でも残り1時間しか休めないぞ」
「アワレ」
 
 
 
 
 
 
1時間後
5階 家電フロア
 
 
ようやく営業が始まり、店内を物色してから1時間が経過した。
「・・・・・・おかしい」
「・・・・・・ヘンだな」
・・・・・・?
ここへ来て、自分達の捜し求めているものが全く見つからない。
あらゆる全ての階層を探し回ってみたが、どこにもそれらしき商品は見当たらない。
「おい、こうなったらそこの従業員の姉ちゃんに店長呼んでもらおうぜ」
「よせって!ややこしいことになるのはゴメンだ!!」
「もしもーーーし!?店長呼んでいただけませんかーーーーーー!!!!」
「っ・・・・・・・・・・・・!」
 
 
 
 
 
「どうなさいましたか、お客様?」
数分後、店長らしき中年男性が呼ばれてやって来た。
「これとおんなじ商品売ってるって聞いたんだけどさ、どこにも置いてないってどういうこと?」
「はて、どの商品でしょうか・・・?」
「コレ」
日傘型ビットを差し出し、店長にじっくり見せた。
 
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは!」
 
 
 
突然、店長の表情が険しくなった。
「店長、まさか・・・・・・・・・・・・!!」
「うむ、恐らく・・・・・・」
何やらヒソヒソと話し合っている。これの何がまずいのだろうか。
「?・・・あの、どういう事っすか?」
「・・・・・・お客様」
店長がこちらに向き直り
「申し訳ありませんが、詳しい事情をお聞かせいただけないでしょうか。・・・・・・君は早く持ち場に戻りたまえ」
女性の従業員が速やかに立ち去ると、店長は再び向き直り
 
「立ち話もなんですので、事務室の方へ」
 
 
 
 
 
 
 
事務室
 
「・・・なんと!では、その二つのビットはリーロちゃんとシック君のものという事ですか!?」
「ああ。うちの友人がうっかりぶっ壊しちまってさぁ」
申し訳無さそうな面持ちのリムロに目をやり
「これと同じものがアイスバーグにあるから、買って来いって言われたんだ」
リムルの後ろでは、いつの間にか気持ちよさそうに爆睡しているリムラが横たわっていた。
「つか、何でおたくらがあの双子の名前知ってるんすか?お得意様?」
「・・・少し違います。あの子たちの父親は、ここの従業員なのです」
「「!?」」
従業員。なるほど、とリムロは納得がいった。
大方ここの社員ということで、売れ残りだったあのビットをプレゼントしてやったんだろう。
「ダークトリオさん、と言いましたか。あの子たちに何か変わった様子はありませんでしたか?」
「変わった様子・・・?まあ、子供のクセに割と大人びてる?つーか・・・」
「父親の事でもめていたな。自分達にかまってくれない、とか」と、リムル。
「やはり、そうでしたか・・・・・・」
店長は深くため息をついた。
「「??」」
 
 
 
「失礼ながら、あなた方は悪い人ではなさそうですね。・・・特別に、お話しましょう」
 
 
 
 

 

 

 

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