第7幕

 

 

 

 
 
「こんな時に!・・・・・・・・・」
 
 
陣痛で倒れていなくとも、子を身篭った今のガールードはとても戦える身ではない。
そこへ、あたかも図ったかのような襲撃。
 
 
卑怯者め。
唇を噛み締め、怒りに震えるガルクシア。
 
 
 
対する敵はお構いなしに、右手の帯電したアームを射出。
咄嗟に横へ跳び、難なく避ける。
喰らい付いた壁を引き剥がすと、間髪入れず辺りを闇雲になぎ払う。
拉げた形で宙を舞う家具。
つかんだ壁材は数秒もしないうちに黒焦げ、砕き潰され粉々になった。
 
 
 
凄まじい握力。
生身の人は忽ちミンチにされかねない。
リーチの長さを考えると、接近戦を挑むのは無謀。
 
 
 
 
「!!」
 
 
 
 
敵は一息つかせる暇も与えなかった。
既にチャージを終えた左手のアンカーアームが大きく口を開け、中から避雷針のようなニードルランスが顔を覗かせる。
 
 
「くそっ!!」
 
 
強烈な閃光を放ち、雷撃が襲う。
家具の物陰に隠れるが、次のl瞬間にはただの炭と化し、顔が青ざめた。
竜のように荒れ狂う稲妻は、周囲の物をたちどころに焼き尽くし、消し炭に変えていく。
 
 
まともに相手していい敵ではない、危険すぎる。
ナイトメア軍は本気でこいつを実戦に投入する気か?
冗談じゃない、どれほど多くの命が奪われるとでも思っているのだ。
 
 
改めて敵の残酷さを垣間見たガルクシアは、この状況を打破する方法を何とかひね捻りり出す。
 
魔獣調教師の経験を活かした、大胆な発想。
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・電磁鞭で思考回路にハッキングすれば、何とか出来るか・・・?」
 
 
 
 
 
軍役時代、相手取った魔獣は生身ばかりでは無い。
時には機械の体を持つ、丁度この敵と同タイプのメカ魔獣と戦う事もあった。
人と機械の間に在る、埋めがたい力の差。
 
そのため、軍はこれを克服すべく、機械生命体に効果的な特殊な武器を開発。
第一号としてガルクシアに授与された、魔獣調教用特別電磁鞭。
 
この武器は一定の波長に合わせた電磁波を流し込む事で、既存の人工知能を破壊。
あるいはコントロールシステムを掌握。
巻きつけた鞭をコンソール代わりにし、自分の思い通りに操作するというもの。
 
 
ナイトメアめ、さすがにメカ魔獣は調教できまいと思って差し向けたのが運の尽きだ。
この鞭は「魔獣」であれば、どんな相手も意のままに操れる。
残念だったな、愚かな技術者たち。
この戦いの勝者は目に見えて明らかだ。
 
 
 
ただ、今回は勝手が違う。
以前倒したメカ魔獣の事をガールードに話した時、それは「H-9K “サタデー・ストライク”」という量産機だとの答えが返って来た。
目立った特徴は無いが、メカ魔獣の中では低コストで手軽に生産され、最も数が多いという。
その分、他のヘビーロブスターとは性能面で比べ物にならないほど弱い。
 
 
これが何を意味するか?
この敵を、あの時と同じ様に簡単に洗脳できるとは限らないのだ。
最悪の場合、抵抗され返り討ちを喰らって即死というケースも有り得る。
ハイリスク極まりない、究極の賭け。
 
 
 
元より、自分の鈍らサーベルでは敵の装甲を貫く事など不可能であった。
一か八か、この作戦に託すしかない。
 
 
「また来るか!!」
 
 
両手のアームが一斉に口を開ける。
稲妻か、と身構えるが、予想は大きく違った。
 
 
 口の中から覗かせるは金属の針では無く、赤い弾頭。
 
 
 
「室内で重火器だと!正気か!?」
 
 
 
 
 
機械に正気も何も在ったものでは無い。
それ以前に、読みが外れた。
 
両手より発射したミサイルは直線的軌道を描いて飛来。
ある程度の誘導性を持っていた為、僅かながら軌道をガルクシア側に逸らす。
敵兵器の思わぬ反応に回避行動が一瞬遅れるも、辛うじて2発とも避け切る。
標的を外したミサイルは着弾と同時に爆発。
黄色の爆炎が巻き起こり、周囲の壁、床、天井を剥ぎ散らす。
ガルクシアも爆風に足を取られ、壁へ横殴りに叩き付けられた。
 
 
 
 
「くそぉっ!!!」
 
 
 
 
このまま侵攻を許せば、メカ魔獣は確実に妻の部屋へと突っ込んで行く。
それだけは全力で阻止せねばなるまい。
やる事は一つ。
暴虐の限りを尽くしたいがために名誉を求める、愚かな機械兵を完膚なきまで打ちのめす。
 
 
 
しかし、折角の完成品を容易く破壊させる程、連中は愚かではない。
自分としてはこの機体を、操縦パイロットの必要が無い「無人機」と仮定している。
何者かが乗っていれば、口封じに殺さざるを得ないからだ。
 
 
無人機だとした場合、撃破の時点で発信していた電波は途切れる。
即ち、「死亡」したという旨の意味を受信側に知らせるのと同じ事。
期待を込めた最新鋭の敗北をナイトメアが知れば、宇宙支配の計画に支障が出るとして当然怒り狂う。
そして何らかの物理的手段を以ち、張本人への徹底的な報復。
少なくとも、今以上の戦力が襲い来る可能性は十分に考えられた。
 
 
これを防ぐには、攻撃意思を排除する事で危険性を取り除き、ヘビーロブスター自体はそのまま生かしておく必要がある。
敵は実質的な撃破を知らぬまま、今回のテストが成功したと錯覚。
速やかに遥か遠方の地に放棄すれば、これまた単なる燃料切れと思い込み、不審に思うことなく回収。
機械の一部が破損していようと、敵が深読みする事は無い。
適当に返り血のようなものでも塗りたくっておけば、あっさり騙されてくれる事だろう。
最も、確実に成功するかどうかは敵の頭が悪ければの話だが。
 
 
 
「見かけの割に素早い!!」
 
 
 
背中のバーニアを噴射させ、一直線に突進。
かわし切れず掠り飛ばされる。
敵は機体ごと壁にめり込んだが、直ぐに逆噴射で抜け出し、平然とした佇まいを見せ付ける。
  
 
やるべき事が分かっていても、ガルクシアは悩んでいた。
この化け物の傍へ、如何にして接近するか。
 
 
恐るべき事に、敵の死角は殆ど無きに等しく、予想以上に近づく事を困難とさせていた。
 
近づけば暴力的握力の餌食。
離れても死の稲妻で身を焦がされ、息絶えるのが落ち。
その後に何が起きるか言うまでもあるまい。
無様に散った夫の後を妻と子が追う、考えたくも無い最悪の構図。
人生最高の幸せを前にしての悲劇。
 
 
どうすれば、数々の強力な攻撃手段を封じる事が出来るのか?
いずれのヘビーロブスターも急激な冷却に弱いという話は聞いた事がある。
しかし、日常生活でそのような手段はまず存在しない。
 
では目を封じるか?
どんな生物もメカも視界を奪われれば、それだけで全ての行動に多大な支障が及ぶ。
 
成程、奴の動きを封じるにはそれしか無い。
 
 
 
 
それでも更に問題があった。
視界を封じるために必要な「アレ」は、この屋敷の1階にある。
激しい戦闘で気づかなかったが、今自分たちの居る所は2階。
そこから歩いて数十秒もしない内にガールードの部屋まで辿り着く。
 
 
敵は一歩も後退する気配を見せない。
どうやって下の階まで誘導するか?
思考を巡らせた時には、もう彼女の部屋がすぐ傍まで見えていた。
 
 
突然、漆黒の体躯が突然大きく飛び上がる。
急降下攻撃。
天井をダイレクトに突き破り、月夜に照らされた機体の影が迫る。
踏み潰される直前までギリギリの所で引きつけ、回避。
 
 
 
 
「うおっ!?」
 
 
 
 
それが運命の分かれ目だった。
凄まじい力によって床が歪み、バキバキと木の板が割れるような音と共に崩壊。
ヘビーロブスターの体は成す術も無く1階に落下した。
 
 
 
占めた。
自分の巨体が上の階層において不向きだと分かれば、安易に飛び跳ねて2階へ戻ろうという馬鹿な真似はしまい。
敵の後を追い、下に降りる。
 
 
 
「ますます占めたぞ。ここだ、俺が必要としていたのは!!」
 
 
 
 
何という偶然だろうか。
運良き事に、降りた先の傍にある部屋は、彼女が趣味に使っていたアトリエ。
 
ガルクシアの求める「アレ」、即ち“絵の具”の在り処。
 
彼の狙いは、絵の具でヘビーロブスターの目玉を塗り潰して視界を奪う事だった。
 
 
 
突き抜けた勢いが止まらなかったのか、メカ魔獣は更に床にめり込んで動けない。
自慢のアームも一緒に埋まり、攻撃不可能。
必死にもがく姿が哀れに見える。
今の内とばかりにアトリエを縦断し、水の張ったバケツに有りっ丈の絵の具を注ぎ入れる。
投入した色は図らずとも偏りが生まれ、水は真っ赤に染まった。
 
 
 
 
「これなら、どうだっ!!!」
 
 
 
 
頭上に持ち上げ、力一杯放り投げた。
バケツは放物線を描いてヘビーロブスターに直撃。
機体は赤く染まり上がり、目玉も絵の具に塗れてレンズが見えない。
 
もう、脱出されても心配無い。
抜け出した所で相手の位置が分からなければ無力も同然。
 
 
 
最後の行程。
腰にぶら下げた電磁鞭を手に取り、解き上げる。
鞭は長さを縮めると、一本の真直ぐな警棒のように硬化。
それを携え、ヘビーロブスターの頭上に乗り掛かった。
 
 
 
 
 
 
 
「これで、トドメだぁっ!!!!」
 
 
 
 
 
 
装甲の接合部分の隙間より、鞭の先端を強引に差し込む。
内部で放電が起きると、メカ魔獣は活動を停止することなく、戦闘行動のみを中止。
敵機、沈黙。
 
 
 
作戦は成功した。
後は、急いでガールードをどうにかせねば。
背負い上げて麓まで駆け下りても間に合わない。
 
 
 
 
 
そう、“自分の”足では。
 
 
 
 
 
 
_________
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・まさか、役に立つとは思わなんだ」
 
 
闇夜の森を失踪するヘビーロブスター。
背中にガールードを背負い、メカ魔獣の腕に乗るガルクシア。
鞭の先端を頭部に突き刺したまま、柄の部分を握り締めていた。
 
 
ヘビーロブスターを生かしたまま倒すという作戦は、偶然にも移動手段まで確保する結果へ繋がった。
彼にしてみれば思わぬ助け舟、不幸中の幸い。
産婆でもあるまいし、自分などに赤子を取り出す役割が務まる筈が無い。
 
何はともあれ、このスピードなら目的の場所まで早々に到着する。
これで不安要素は去った。
安全な出産を確信した時だった。
 
 
 
 
「?」
 
 
 
 
ふと、背中に違和感を覚える。
雨が降っている訳でも無いのに、背中が濡れたような感覚。
そう言えば、ガールードが陣痛を訴えてから大分時間が経つ。
 
 
 
と、言う事は。
 
 
 
 
「破水か!!」
 
 
 
一刻の猶予も無い事を実感、焦り始めるガルクシア。
街の明かりが直ぐそこまで見えて来るのが分かった。
 
 
 
 
「もう時間が無い、急がねば!」
 
 
 
 
 
 
 
 
________
 
 
 
 
 
 
 
「助産婦でも何でも良い、誰か呼んでくれ!!」
 
 
病院外の駐車場に無理矢理乗りつけ、ガールードを抱える。
必死の形相で迫り来る来客に、受付のスタッフは思わず後ずさりした。
 
 
 
「ど、どうなさいましたか!急患ですか!?」
「急患も何も、妻の子供がもうすぐ生まれそうなんだ!!」
「ええっ!!」
「・・・貴様、新参だな?驚いている暇が有ったら分娩室に連れて行け!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
 
 
分娩室の外、廊下の端に置かれた椅子。
そこに座り込んだガルクシアは腕を組み、顔が下を向いたまま、一言も発そうとしない。
 
 
 
やるべき事は果たした。
だが、子供が無事に生まれてくるかどうかを思うと気が気でない。
本当は自分も出産に立ち会いたかった。
しかし今回、あえてそれを避けた。
 
 
 
それと言うのも数日前、彼の所に訪れたノイスラート卿の発言が心の中で引っかかっていた。
 
 
 
_____
 
 
 
 
「あともう少しで君の奥さん、子供生まれるんだってね」
「はい。不安は山ほど有りますが、気にしても始まらないと思っています」
「そうか。では君に一つだけアドバイスしておこう」
「それは一体?」
 
 
 
 
 
 
「君は夫として、彼女の出産に立ち会うべきではない」
 
 
 
 
 
 
「え?」
「これは私個人の見解なんだけどね、ガルクシア君」
「・・・・・・?」
 
 
 
 
 
 
「子供を産もうと力一杯頑張るその姿を見て、夫は女性という生き物の神秘、偉大さに打ちひしがれる。そして、夫としての自信を失くしてしまう」
「はあ・・・・・・」
 
 
「かく言う私も、その第1号みたいなものさ。立ち会って以来、男としても自分に自信が無くなり、一年もしないうちに離婚した」
 
 
「・・・・・・・・・・」
「勿論、親権は妻に譲った。戦いに生きる者だからという理由も有るが、子供を育てていく責任を持つ事が私には出来なかった」
「・・・・・・後悔は、しなかったんですか?」
「・・・・・・・・・無いと言えば、嘘になる」
 
 
 
「しかし出来れば、戦士は背負い込んだしがらみを捨てた上で、それから華々しく散りたいものだ。家族を残したまま死んでしまっては、悲しみを与えるだけだ」
 
 
 
 
 
 
「・・・おっと、縁起でも無い事を言ってしまったな。申し訳ない」
「・・・・・・いえ。有り難きお言葉に感謝しています」
「済まないね、ガルクシア君。そもそも君と私の仲じゃないか、いい加減私にだけ敬語を使うのは、さすがのオーサー卿もどうかと思うぞ」
 
 
 
 
「それは出来ません。星の脱出に関しては色々助けられたので」
 
 
 
 
「・・・・・・礼を言われる程ではない。むしろ、メタナイト君が堅物すぎただけの話だ、気にする必要はない」
「有難うございます」
 
 
 
 
「・・・君は立ち会わなくても良い。ただ祈るだけで、十分彼女の為になる。少なくとも私はそう思う」
 
 
 
 
 
_____
 
 
 
 
 
 
 
 
ああは言われたが、結局は気になって仕方が無い。
しかし今更どうする事も出来ない。
大人しく待つしか、選択肢は無かった。
 
 
 
時間の流れが遅く感じる。
一秒一秒がとてつもなく長い時のように思えてきた。
彼にとって、終わりの無い地獄のような苦しみ。
 
 
 
 
 
まだか?
まだ子供は生まれて来ないのか?
それともまさか、予想だにしないアクシデントが起こり得たと言うのか。
気になる。
非常に気になる。
果たして――――――
 
 
 
 
 
 
 
「ガルクシアさん」
 
 
 
 
 
 
分娩室の扉が開き、看護士の女性が声を掛けた。
ガバっと起き上がり、結果を待ち侘びるガルクシア。
 
 
 
 
 
「ど・・・どうなった・・・・・・・・・?」
 
 
 
 
 
心臓の鼓動が早くなる。
 
早く、早く教えろ。
妻は、子供はどうなった?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おめでとうございます、元気な女の子ですよ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・・・・良かった・・・!!」
 
 
 
緊張の糸が解れ、力の抜けた様子で椅子に倒れ込む。
同時に、目に浮かぶ涙。
自分の頑張りは無駄にはならなかったのだと、彼は心の中で己を褒め称えた。
 
 
「奥様はしばらくの間安静にしなければなりませんが、宜しいでしょうか?」
「ああ、大丈夫だ。・・・ただ、妻と子供の顔を見る前にどうしてもやっておかねばならない事がある。日をまたぐ前に必ず戻ると伝えてくれ」
「え?あ、ハイ・・・・・・・・・」
 
 
帽子を被り直すと、その場を後にした。
 
 
 
 
 
 
 
外に出ると軍服の上着を着直し、夜空を見上げる。
 
喜ばしい結果を聞いて安心するのも束の間。
あのメカ魔獣を早いところ、何処かに廃棄しなければならない。
近くのレンタルサイクルショップから小型一輪バイクの「ウィリースクーター」を借り、帰りの手段を確保。
ヘビーロブスターに乗り込み、猛スピードで街中を疾走した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「この辺が良いな・・・・・・」
 
 
何も無い荒廃した更地を見渡し、ヘビーロブスターのエンジンを止める。
発信される信号が途絶えない程度に攻撃し、ジェネレータやエンジンを破壊。
心臓部以外は二度と使い物にならなくなった。
ウィリースクーターに跨り、帰るべき場所へ向かう。
 
 
 
この辺りでは、奇妙な都市伝説が蔓延っていた。
放置されたものは生き物や物質問わず、跡形も無く消え去る怪現象の発生。
街の住人の間では「神隠し」と呼ばれているが、真相は未だ明らかとされていない。
 
 
銀河戦士団はこの現象を、空間魔獣「メガイター」の仕業によるものと仮定。
また、一説ではこのメガイターが生み出した空間に繋がる入り口があるともされている。
 
 
ところが何と、このメガイターは存在自体が未だに憶測の域を出ていない。
円形の閉鎖空間、異形の木々に溢れた異空間、3種類の亜種、体外へ放出する謎の粒子、その粒子に触れたものが魔獣化する現象。
何もかもが憶測の域を出ない、摩訶不思議、正体不明の存在。
 
 
 
何れにせよ、次の犠牲者は自分かも知れない。
目に見えぬ恐怖に怯えつつ、バイクを走らせる。
 
 
 
しかし、結局「神隠し」とやらに巻き込まれることは最後まで無かった。
 
 
「ふん、肩透かしを喰らった・・・」
 
 
同じく、この地を訪れるのもこれが最後となった。
 
 
 
 
 
 
 
果たして、彼は気づいたであろうか。
いや、気づかない確率の方がよほど高い。
 
 
 
 
廃棄したヘビーロブスターは無人機などでは無く、列記としたコックピットを設けていた事を。
 
 
その中には、未だ目を覚まさぬ一人のパイロットが眠り続けていた事を。
 
 
 
 
『外部からの直接的ハッキング、解除 同時に周辺の空間で強い歪みが発生』
 
 
 
 
コックピット内のインターフェースが赤色に染まり、警告を発する。
 
 
 
『WARNING!!WARNING!! 直ちに脱出せよ たダちニだッシゅツセヨ・・・・・・』
 
 
 
浮かび上がる文字・図が崩れ、元の形を失った。
 
 
 
右上部分に辛うじて残された、機体とパイロットの名。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『HEAVY・LOBSTER 13-A “ORTHROS” ・・・PILOT NAME “VELMOND”』
 
 
 
 
 
ナイトメア軍の最新鋭メカ魔獣、H-13A “オルトロス”。
ガールード邸襲撃作戦、失敗。
回収隊到着時には既に機体そのものが消失。
これを以ってH-13シリーズ、開発計画を一旦凍結。
 
 
 
 
パイロットの行方を知る者は、誰も居なかった。
 
 
 
 
 
 
<<前へ  リストに戻る  次へ>>
 
 
 

 

 

元ネタ解説

 

オルトロス

・・・『R-TYPE⊿』の自機「ケルベロス」にひっかけた名前。魔犬つながり

 

アンカーアーム、雷撃

・・・ケルベロスのアンカーフォース、ライトニング波動砲のオマージュ。実際は避雷針なんてねーよ

 

サタデー・ストライク

・・・『R-TYPE FINAL』の機体「サンデー・ストライク」のオマージュ。低コスト機である

 

赤ペンキでぐちゃっ

・・・スパデラの「メタナイトの逆襲」における特別なシチュエーション。動きがおかしくなる

 

メガイターの設定

・・・半分以上が『R-TYPE FINAL』の正体不明ボス「ノーメマイヤー」を意識したもの。円形のフィールドもそう

 

ところで乗っていたパイロットの名前って・・・

・・・お察し下さい